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日鉄呉跡地に弾薬庫想定 防衛省 「多機能」の一つ

 防衛省が、日本製鉄(日鉄、東京)瀬戸内製鉄所呉地区(呉市)への整備を検討している「多機能な複合防衛拠点」の機能の一つとして弾薬庫を想定していることが5日、関係者への取材で分かった。継続的な防衛活動のために必要という。一方で有事の際に攻撃対象となる恐れもある。

 複数の関係者によると、呉地区への防衛拠点に備える3機能のうち、「部隊の活動基盤」の一つとして弾薬庫が想定されている。海上自衛隊呉基地に近く、太平洋や南西諸島へも移動しやすい呉地区へ設置すれば、弾薬補給でメリットが見込めるという。海自呉基地にも弾薬庫はある。

 弾薬庫は全国に約1400棟ある。政府は2022年に決定した安保関連3文書に他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有と、長射程ミサイルの取得推進を明記。戦闘を続ける能力を強化するため、弾薬の備蓄を増やす方針も掲げた。保管先として32年度までに弾薬庫約130棟を整備する。

 一方、弾薬の保管先は有事の際に攻撃対象となるリスクがある。防衛省は25年3月にも、呉地区に陸海空共同の部隊「自衛隊海上輸送群」を新設する。地元の市民からは呉地区が大規模な軍事拠点になるとの懸念も上がっている。(宮野史康)

(2024年3月6日朝刊掲載)

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