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広島・西区の広島キリスト教社会館 ヴォーリズ建築と判明 資料で確認 57年築

 広島市西区の広島キリスト教社会館が、米国人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964年)の設計による建物であることが明らかになった。これまで広島県内で現存するヴォーリズの建築は、尾道市因島の旧宣教師住宅と、広島市佐伯区湯来町に移築された元広島YMCA施設の2件とみられていた。

 社会館は1957年に建築。瓦ぶきの木造2階建てで、現在は保育所やデイサービスセンターとして使用されている。近年、老朽化が進んだため改築を検討し始めたところ、建設当時の資料から近江兄弟社建築部(現・一粒社ヴォーリズ建築事務所、大阪市)の設計であることが確認された。

 ヴォーリズは大正から昭和にかけ、各地でホテルや教会などを設計。山の上ホテル(東京都千代田区)、関西学院大(兵庫県西宮市)などが知られる。昨年までに61件が国の登録有形文化財に登録されている。

 広島市内でも戦前、広島流川教会など多数の建物を手がけたが、原爆で破壊された。戦後に設計した広島女学院の旧学生寮などは2003年までに解体された。

 広島の建築を調べている市民グループ「アーキウォーク広島」の高田真代表は「社会館は全くのノーマークだった。ほかにもヴォーリズ生前の建築が現存する可能性はあるのかもしれない」と話す。(西村文)

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ
 1905年、キリスト教伝道のため英語教師として来日。その後、滋賀県近江八幡に建築設計事務所を開いた。全国各地で1500件を超える建物を手がけ、近代日本の西洋建築に大きな影響を与えた。

(2024年3月30日朝刊掲載)

[モノ語り文化遺産] ヴォーリズ建築 広島キリスト教社会館 広島市西区

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