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岩国基地騒音3万回超 23年度 沖合移設後最多

 米軍岩国基地(岩国市)周辺の市内5カ所で70デシベル以上の騒音を測定した回数が2023年度に計3万2641回に上り、滑走路が沖合に1キロ移った10年度以降で最多となったことが4日、市のまとめで分かった。滑走路の沖合移設前の08、09年度を上回った。7月に空軍機が他の基地から飛来し、8、9月には空母艦載機が岩国に一時帰還して訓練した影響とみられる。

 市に寄せられた23年度の苦情も8108件と22年度の1・4倍で過去最多となった。

 「騒々しい街頭」に当たる70デシベル以上の騒音は22年度の1・3倍に増えた。3万回を超えたのは21年度(3万586回)以来。沖合移設前の08年度(2万6467回)09年度(3万2119回)より多かった。

 岩国基地周辺の騒音は滑走路の沖合移設で10年度以降に減少。艦載機約60機が厚木基地(神奈川県)から移ってきた18年度以降は増えている。例年、艦載機が基地を離れて空母と洋上で展開する夏場は減る傾向にある。

 23年7~9月は月別で2134~3500回と前年同月の1・2~2倍に増えた。いずれも月別では10年度以降で最多となった。7月には、飛来した嘉手納基地(沖縄県)のF15E戦闘攻撃機9機と三沢基地(青森県)のF16戦闘機12機が米軍の大規模演習に参加。8、9月は艦載機が一時帰還し、1カ月半にわたって訓練を繰り返した。

 軍事評論家の前田哲男氏は「米軍は、軍事活動を強める中国や台湾有事を視野に入れて南西諸島の防衛に力を入れている。自衛隊との合同訓練も活発化し、騒音が増えているのではないか」と指摘する。(川村奈菜)

(2024年4月5日朝刊掲載)

「移設前に戻ったよう」 岩国基地騒音 周辺住民が懸念

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