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在外被爆者 本紙アンケート 「健康が心配」8割 老後の生活に不安

 中国新聞社は七日、世界各地に暮らす在外被爆者を対象に実施した生活・健康実態アンケートの結果をまとめた。七カ国の計三百十二人から回答があった。「被爆者としての苦労や心配事」についての設問(複数回答)には、「自分の健康」「老後の生活」「経済上の困窮」の三つの回答がいずれも過半数を超え、在外被爆者の多くが健康と暮らしの両面で不安を抱えていることがうかがえる。

 調査は現地の被爆者団体や県人会などの協力を得て郵送方式で行い、一部は現地を取材した記者が被爆者から直接聞き取りした。回答者の国別内訳は、韓国百五十四人、米国八十一人、ブラジル六十七人、アルゼンチン五人、パラグアイ三人、中国とカナダ各一人。

 日々の苦労や心配事についての回答は、「自分の健康」が二百六十二人(84.0%)で最も多く、次いで「老後の生活」二百三十八人(76.3%)、「経済上の困窮」百六十九人(54.2%)―の順。

 被爆から五十七年が過ぎ、在外被爆者の高齢化が進む実態を物語る。被爆者健康手帳を取得すれば医療費の給付が受けられる日本国内とは異なり、物価水準に比べて医療費が相対的に高額な国もあることから、病院通いが家計を圧迫しているケースもあるとみられる。

 「家族の健康や将来」との回答も百三人(33.0%)に上った。被爆二世への影響を懸念する人も多いと言えそうだ。

 また、被爆者健康手帳を取得しているのは全体の74.0%だった。

  <被爆者としての苦労・心配事は(複数回答)>

自分の健康    262人
老後の生活    238人
経済上の困窮   169人
家族の健康や将来 103人
肉親の世話     14人
自分の仕事      8人
その他       19人
無回答       19人

(2002年8月8日朝刊掲載)

在外被爆者 願いは海を超えて アンケート 届かぬ痛み切々 健康や生活不安根強く

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