「責任意識がおろそか」 米英大使の長崎式典欠席 広島から批判
24年8月8日
イスラエルが招待されなかったのを理由に米国や英国の駐日大使が9日にある長崎市の平和祈念式典欠席を決めたのを受け、広島の市民、被爆者たちから7日、イスラエル寄りの対応や慰霊の場に国際政治を持ち込む姿勢への批判が相次いだ。(下高充生、山下美波、野平慧一)
「世界で対立が続く中、毎年こうなるのでは」。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(82)は原爆死没者を追悼し、核兵器のない平和な世界の実現を願う場を巡る混乱を嘆いた。
「どの国が人権を守ろうとしているのか、明確になった」と指摘したのは、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を批判する「広島パレスチナともしび連帯共同体」の湯浅正恵さん(61)。子どもを含む死者の数が増える中、イスラエルに足並みをそろえた米英などを非難した。
日本を除く先進7カ国(G7)の駐日大使たちはイスラエルを招かないことに懸念を表明する書簡を長崎市に送っていた。核兵器廃絶を訴える一般社団法人かたわら(横浜市)の高橋悠太代表理事(23)=福山市出身=は「G7がどう言おうと、長崎市は一貫した対応を取った」と評価。原爆を投下した米国を含む核兵器保有国の大使の欠席に「責任意識がおろそかだ」と強調した。
広島市は6日の平和記念式典にイスラエルを招き、米国と共に大使が参列した。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(79)は「被爆者としては原爆が何をもたらしたかを知ってほしい。式典が政治的な駆け引きの場にされないために全ての国・地域を招待すべきだ」と訴える。市は「長崎市で起きたことに対し、広島市として評価する立場にない」としている。
(2024年8月8日朝刊掲載)
米英大使、長崎式典欠席【解説】政治的立場 持ち込むな
「世界で対立が続く中、毎年こうなるのでは」。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(82)は原爆死没者を追悼し、核兵器のない平和な世界の実現を願う場を巡る混乱を嘆いた。
「どの国が人権を守ろうとしているのか、明確になった」と指摘したのは、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を批判する「広島パレスチナともしび連帯共同体」の湯浅正恵さん(61)。子どもを含む死者の数が増える中、イスラエルに足並みをそろえた米英などを非難した。
日本を除く先進7カ国(G7)の駐日大使たちはイスラエルを招かないことに懸念を表明する書簡を長崎市に送っていた。核兵器廃絶を訴える一般社団法人かたわら(横浜市)の高橋悠太代表理事(23)=福山市出身=は「G7がどう言おうと、長崎市は一貫した対応を取った」と評価。原爆を投下した米国を含む核兵器保有国の大使の欠席に「責任意識がおろそかだ」と強調した。
広島市は6日の平和記念式典にイスラエルを招き、米国と共に大使が参列した。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(79)は「被爆者としては原爆が何をもたらしたかを知ってほしい。式典が政治的な駆け引きの場にされないために全ての国・地域を招待すべきだ」と訴える。市は「長崎市で起きたことに対し、広島市として評価する立場にない」としている。
(2024年8月8日朝刊掲載)
米英大使、長崎式典欠席【解説】政治的立場 持ち込むな