「核戦争防ぐ緊急行動を」 国際賢人会議閉幕 政府に提言
25年4月1日
核兵器廃絶への道筋を国内外の有識者が話し合う国際賢人会議の最終会合が31日、2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた提言をまとめ、閉幕した。提言は、核兵器が使われかねない現在の国際情勢を直視し「核戦争を防ぐための緊急行動が必要」と指摘した。政府は提言を基に核兵器保有国をはじめ各国に核軍縮の取り組みを促す考えだ。
閉幕後、委員12人が東京の国連大学で開いた記者会見で明らかにした。提言は厳しい国際環境の下、核兵器を重視する動きがあると指摘。戦争で核兵器の使用につながるリスクが高まりかねないとし「長崎を最後の被爆地とする責任がある」と打ち出した。
核保有国が核軍縮を主導する責任や多国間主義の必要性を強調。具体的な措置として、核保有国が核実験の停止を継続する▽核軍拡競争を回避する▽核兵器の原料生産の停止▽政治指導者の広島、長崎への訪問―などを提示した。
座長を務めた白石隆熊本県立大特別栄誉教授は「核戦争の危機が過去数十年で最も高まっている。行動に起こせる提言を作った」と述べた。
一方、提言は核抑止について「最終的な安全保障政策であるべきではない」としたが、脱却の道筋は示さなかった。会見で東京大大学院の高見沢将林客員教授は安全保障を理由に「核抑止も含めて抑止の必要性はあると多くの委員が思っている」と述べた。
賢人会議は会合に先立ち、官邸に石破茂首相を訪問。首相は「核のない世界が理想だ。同時に核戦争のない世界をどうやって実現するかも考えなければならない」と語った。林芳正官房長官は会見で再検討会議に向け「プロセスにおいてしっかりとリーダーシップをとる」と述べた。
会議は岸田文雄前首相が22年に創設した。核保有国と、日本を含む非保有国の委員計15人が参加した。(宮野史康、中川雅晴)
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岸田文雄前首相が提唱し、2022年12月に広島で初会合を開いた。米中ロ英仏の五大国とインドの核兵器保有国、日本、ドイツ、アルゼンチン、ヨルダン、インドネシア、ニュージーランドの非保有国の専門家計15人が各国の立場を超え、核軍縮の道筋を探る。前身は岸田氏が外相時代の17年に創設した賢人会議。
(2025年4月1日朝刊掲載)
get="_blank" rel="noopener noreferrer">国際賢人会議【解説】 核抑止論 脱却見通せず 後退させぬ決意にじむ
閉幕後、委員12人が東京の国連大学で開いた記者会見で明らかにした。提言は厳しい国際環境の下、核兵器を重視する動きがあると指摘。戦争で核兵器の使用につながるリスクが高まりかねないとし「長崎を最後の被爆地とする責任がある」と打ち出した。
核保有国が核軍縮を主導する責任や多国間主義の必要性を強調。具体的な措置として、核保有国が核実験の停止を継続する▽核軍拡競争を回避する▽核兵器の原料生産の停止▽政治指導者の広島、長崎への訪問―などを提示した。
座長を務めた白石隆熊本県立大特別栄誉教授は「核戦争の危機が過去数十年で最も高まっている。行動に起こせる提言を作った」と述べた。
一方、提言は核抑止について「最終的な安全保障政策であるべきではない」としたが、脱却の道筋は示さなかった。会見で東京大大学院の高見沢将林客員教授は安全保障を理由に「核抑止も含めて抑止の必要性はあると多くの委員が思っている」と述べた。
賢人会議は会合に先立ち、官邸に石破茂首相を訪問。首相は「核のない世界が理想だ。同時に核戦争のない世界をどうやって実現するかも考えなければならない」と語った。林芳正官房長官は会見で再検討会議に向け「プロセスにおいてしっかりとリーダーシップをとる」と述べた。
会議は岸田文雄前首相が22年に創設した。核保有国と、日本を含む非保有国の委員計15人が参加した。(宮野史康、中川雅晴)
岸田文雄前首相が提唱し、2022年12月に広島で初会合を開いた。米中ロ英仏の五大国とインドの核兵器保有国、日本、ドイツ、アルゼンチン、ヨルダン、インドネシア、ニュージーランドの非保有国の専門家計15人が各国の立場を超え、核軍縮の道筋を探る。前身は岸田氏が外相時代の17年に創設した賢人会議。
(2025年4月1日朝刊掲載)
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