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核禁会議よりNPT注力 石破首相インタビュー詳報 車輸出減 米の国益にならず

機密費公開 情報収集に影響

 石破茂首相は、2日の中国新聞インタビューに応じ、内政・外交の決意を語った。(中川雅晴)

 【核政策】

 ―2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会へ外相を7年ぶりに派遣した理由は。
 核を持つ、持たない国の両方が参加するNPTの会議で、両者の一致点を見いだすのは、被爆国である日本が果たすべき役割だからだ。核保有国も核拡散がいいなんて誰も思っていない。

 ―核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加は難しいですか。
 (過去)オブザーバー参加した国もあったが、今回は参加をほとんど見送っているのではないか。むしろNPTの方により注力するということが望ましい。

 【自動車産業支援】

 ―米国の関税措置を受ける自動車産業をどう支援しますか。
 わが国は米国の最大の投資国で最大の雇用創出国で、他国とは事情が全く異なる。マツダにせよトヨタにせよ、われわれの輸出が大きく減ることは、決して(米国の)国益にならない。

 自動車産業は裾野が広く、影響が懸念される。閣僚らが全国に出向いて要望を聞き、タイムリーに対応する。広島には経済産業省の政務官が自動車部品メーカーも含めて要望を聞いている。資金繰りに影響があって賃上げが阻害されてはならない。融資の要件を大幅に緩和する措置を講じており、制度の周知に努める。

 【機密費】

 ―内閣官房報償費(機密費)の使途公開への考え方は。
 会計検査院の検査もきちっと受けている。相手方や使途を明らかにしてしまうと、内閣の職務を遂行する上で、情報が収集しにくくなる。使い方を厳正に行わなければならないということと、全て公開しますというのは別問題。使う側が抑制的に使う配慮が求められるのは当たり前だ。

 【地方創生】

 ―東京一極集中の是正や地域の雇用創出にどう取り組みますか。
 かつてのように企業誘致で雇用を生み出すのは難しい。それでは大々的な日本列島改造にはならない。第1次産業や地方で多く展開している中小企業、サービス業に力点を置く。少量、多品種、高付加価値の経済に変えていく。

 若者や女性の流出が多いのは広島に限らず、全国共通だ。地方創生を始めた10年前から指摘していたが、(流れを)変えられていない。デジタル化や人工知能(AI)の普及で地方でも、中央と遜色ない活動ができる。

 【政権運営】

 ―4月に政権半年を迎えた心境は。
 新しい中道右派、保守的な政党がかなりの強さを発揮している。かつてのような政界の状況ではなくなっていると痛感している。公明党と共に国を間違いなく運営することを常に配慮している。

(2025年5月3日朝刊掲載)

「NPTで一致点模索 被爆国の役割」 石破首相 本紙インタビュー

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