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マータイさん広島訪問 ノーベル平和賞 被爆者証言に涙

■記者 馬上稔子

 2004年のノーベル平和賞を受賞したケニアの環境活動家ワンガリ・マータイさん(69)が12日、広島市中区の平和記念公園を訪れた。原爆慰霊碑に花をささげるなどして被爆の惨状に触れた。

 秋葉忠利市長の案内で原爆ドームも含めた公園内を見学。接ぎ木で増やした被爆桜の植樹セレモニーに参加し「この被爆桜を植えることで、世界のリーダーに核兵器を含む大量破壊兵器を手放すメッセージとしたい」とあいさつした。

 その後、原爆資料館を見て回り、16歳で被爆した松島圭次郎さん(81)=佐伯区=の証言に涙を流す場面もあった。マータイさんは「環境を守ることは命を尊重すること。核兵器は地球を救う努力を無にする。世界中の人が広島を訪れ、学んでほしい」と語った。

 マータイさんは1977年からケニアで、植林の労賃支払いを通じて環境保護と女性の地位向上を目指す「グリーンベルト運動」を始めた。昨年、中国新聞を通じて発表した「 ノーベル平和賞受賞者ヒロシマ・ナガサキ宣言 」に署名している。10日に来日し、広島訪問は本人が強く希望した。

(2010年2月13日朝刊掲載)

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