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[広島外相会合 書面インタビュー] ドイツ・シュタインマイヤー外相 核なき世界の追求 責務

  ―広島市の印象は。
 2014年4月、軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)の外相会合に出席するため、広島という素晴らしい町を訪れた。核軍縮・不拡散は私にとって大変重要なテーマだ。原爆慰霊碑と原爆資料館を訪れ、被爆者と対話して深く心を揺さぶられた。広島は「核兵器なき世界」という目標に向け、力強く取り組むよう私たちを戒めている。町に息づく精神、温かい歓迎、美しい自然は、今回の会合を成功へ導く大きな助けになるだろう。

  ―外相会合への期待は。
 広島の地と密接な結び付きを持つ核軍縮と並び、シリア危機やウクライナ問題、テロとの戦いなど、国際政治で現在焦点となっている極めて幅広いテーマを扱うことになるだろう。また、ドイツが昨年、主要国首脳会議(サミット)議長国として取り上げた主要テーマの一つ「海洋安全保障」を日本が引き継ぎ、熱心な取り組みを進めているのも大変うれしい。

 これら全てのテーマについて重要な推進力を得られると期待している。参加7カ国の意見、立場の幅は大変広いからこそ、説得力ある現実的なアプローチによる問題解決を図れる。私たちが直面しているさまざまな問題を見れば分かる通り、外交の力、対話の力を信じなければ、実際的なアプローチは示せない。

  ―「核兵器なき世界」への道筋をどう考えますか。
 ドイツは「核兵器なき世界」という目標の追求を自らの責務と感じている。同時に、道のりが遠いのは誰もが知る通りだ。例えば、先日の北朝鮮による核実験により、「核兵器なき世界」に到達するまでの過程で、核という要素を含む地域内対立に直面する場面もあると思い知らされた。

 私は13年夏のオバマ米大統領による米ロ間の新たな軍縮交渉に向けた提案に対し、これまで受け入れる動きがないのも残念に思う。「核兵器なき世界」の実現へは、世代を超えて取り組み、大小さまざまな前進を積み重ねなければならない。この道を進み続ける以外に選択肢はない。

  ―平和のために、広島の若者への提案は。
 民間同士の開かれた交流は互いの信頼を醸成し、経験を語り合う場となり得るとともに軍縮や平和へともに取り組むにはどうしたらよいか、新たなアイデアを生む大きな可能性も持つ。過去の克服などの困難なテーマでも、そうしていかねばならない。とりわけ中国や韓国などの近隣諸国、また、世界の他地域の人々と進めていくことが考えられる。広島の若い人たちには、政治家たち政策を決定する人との議論をぜひ試みてほしい。

    ◇

 広島市で10、11日にある外相会合を前に、中国新聞は参加外相たちに書面インタビューをした。会合への期待や「核兵器なき世界」への姿勢を紹介する。

(2016年4月1日朝刊掲載)

インタビューの全文はこちら

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