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[広島外相会合 書面インタビュー] 欧州連合モゲリー二外交安全保障上級代表 慰霊碑訪問を待ち望む

  ―広島市でどんな経験をしたいですか。
 今回は私にとって初めての、待望の広島訪問だ。政治家になった当初から核不拡散と核軍縮を目指し、行動してきた。広島は、全ての大量破壊兵器の廃絶に向けた日々の闘いの重要性を思い起こさせる最も強力な象徴だ。

 私は毎年8月6日、人類初の原爆と、その後の「恐怖の時代」の犠牲者・被害者に思いをはせる時間を取るようにしている。1度、被爆者と会う機会があったが、一生忘れられない経験となった。彼らの証言は核の誘惑を拒絶する最強の警告であり、彼らの物語を後世に残すのは極めて重要だ。参加外相とともに原爆慰霊碑を訪れるのを待ち望んでいる。心を揺さぶり、さらなる奮起を促す瞬間になると確信している。

  ―外相会合への期待は。
 世界の平和と安全にとって試練の時期だけに、徹底した議論が交わされると思う。議題は北朝鮮の脅威、中東での紛争、ウクライナ情勢から南シナ海での緊張まで幅広い。各テーマで主要国は対立的なアプローチを避け、より強力な協調を目指すのが重要だ。われわれの諸地域が不安定だと、全員の安全保障や経済に悪影響を与える。

  ―「核兵器なき世界」に賛同されますか。その手だてをどう考えますか。
 われわれはようやく、核兵器は安全を向上させず、実際にはむしろそれを劇的に弱体化させると気付き始めた。特に平和に対する脅威がより細分化している時代では一層当てはまる。

 昨年、イランの核計画に関してまとめた合意は、核不拡散を目指す闘いで転換期となる土台を築いた。さらに北朝鮮に対する最新の国連安全保障理事会決議では、国際社会は核不拡散に対し前例のない結束を示した。この勢いを維持し、前進させなければならない。

 核拡散防止条約(NPT)は完全適用から程遠い状態だ。包括的核実験禁止条約(CTBT)も発効されなければならない。「大量破壊兵器が全くない中東」という考えは単なる夢想だ、と一蹴されるべきではない。「核兵器なき世界」は、勇気ある指導者と市民レベルの取り組みなしでは実現できない。

  ―平和のため、広島の若者への提案は。
 戦後、広島を見事に復興させたのは、まさに若者の両親や祖父母たち。今度は若者たちが自らのレガシー(遺産)を残す番だ。決して他人が未来をつくることを待たないように。

(2016年4月2日朝刊掲載)

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