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連載・特集

渋沢栄一と岡山 <1> 企画展

井原との縁 史料で紹介

 日本の資本主義の父、渋沢栄一(1840~1931年)の栄達の道は井原から―。青年時代の渋沢が幕末に、農兵募集のため現在の井原市を訪れた歴史や地域との交流を紹介する企画展が、同市井原町の市文化財センターで開かれている。維新後も続いた関係を物語る史料を含め14点が並ぶ。

 渋沢は将軍徳川慶喜を出した一橋家の家臣で、井原は同家の所領だった。渋沢が農兵募集に訪れた代官所「江原陣屋」(西江原町)の瓦には、徳川家とのつながりを伝える三つ葉葵(あおい)の紋があしらわれている。

 渋沢が住民との交流を深めた郷校・興譲館(同)の講堂に掛かる扁額(へんがく)も展示。渋沢が1912年、校門の扁額とともに校名を揮毫(きごう)した。大正期の興譲館の会報には渋沢が元農兵と交わした手紙も残る。元農兵が京都で倒幕軍と戦った際、敵の銃弾が迫る中で退いた思い出を振り返っている。

 渋沢を主役とする大河ドラマの効果もあり、地元をはじめ岡山や倉敷市からも来場者は少なくない。「並んで記念撮影を」と会場には幕末の渋沢の等身大パネル写真も。首藤ゆきえ学芸員は「展示品を通して渋沢を身近に感じてもらえれば」と期待を寄せる。

 企画展は「渋沢栄一と井原~栄達の道は井原から~」。展示替えをしながら来年1月30日まで続ける。月曜休館。無料。☎0866(63)3144。(高木潤)

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 今年のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公で、2024年度に新1万円札の肖像画となる渋沢栄一。ドラマでも描かれた井笠地域との縁や地域に残るゆかりの品、県内での動きを紹介する。

(2021年8月15日朝刊掲載)

渋沢栄一と岡山 <2> 校内の墨書

渋沢栄一と岡山 <3> PR列車

渋沢栄一と岡山 <4> 友好の人形

渋沢栄一と岡山 <5> NHK岡山放送局

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