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社説・コラム

上関原発埋め立て 山口県が許可 一問一答

 山口県が中国電力に3日許可した、同県上関町の上関原発建設予定地の公有水面埋め立て免許の延長で、村岡嗣政知事と中電の迫谷章副社長が、それぞれ県庁で記者会見した。主な発言は次の通り。

山口県の村岡知事 要件充足 許可は必然

  ―許可した理由は。
 中電に求めた補足説明の回答が6月22日にあり、内部で検討してきた。中電は国から「上関原発の重要電源開発地点の指定は引き続き有効だ」という見解を得た。この指定は2008年に交付した埋め立て免許の根拠となっている。埋め立てた土地を実際に使う見込みがあることが確認できたので、公有水面埋立法に基づき許可せざるを得ない。

  ―同時に、原発本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋め立て工事をしないよう文書で要請しました。
 中電は原子炉の設置許可を国に申請しているが、審査は事実上ストップしている。本体の着工時期の見通しが立たない中で、埋め立てだけをどんどん進めるべきではないと考えた。法的拘束力はないが、県としての強い要請だ。しっかり受け止めて対応してほしい。

  ―延長後も着工できず、再び中電が延長を申請する事態も想定されます。
 要請に従えば、工事をしないまま期限を迎える可能性もある。その時点でまた延長申請などがあると思うので、許可できるかどうかを審査することになる。

  ―「許可せざるを得ない」という発言の意図は。
 許可についてさまざまな議論がある。「上関原発を造るべきではないから不許可にするべきだ」という意見もある。しかし、法律上の要件を満たせば知事は許可しなければならず、不許可にすれば違法になる。政策的な判断を差し挟む余地はなく、誰が知事であっても同じ判断になるということを理解してほしい。

中電の迫谷副社長 安全など説明尽くす

  ―率直な感想は。
 2012年10月に免許の延長を申請し、7度の補足説明をしてきた。許可してもらい大変ありがたい。しっかり説明を尽くし、県が厳正に審査する中で、時間が過ぎたと捉えている。

  ―県からは要請文も受け取りました。
 原発の本体工事の見通しが立たない中では、埋め立て工事を施工しないよう求められた。村岡知事の思いを重く受け止めている。工事再開についてどう対応するかを慎重に検討し、結果を県に報告したい。

  ―上関原発は本当に必要ですか。
 供給計画の中にもあるように、重要な開発地点であると考えている。反対している人がいることは承知している。必要性や安全な設備づくりについて、多くの人に理解してもらえるよう説明を尽くしていく。

  ―会社全体の原発への取り組みはどうなりますか。
 まず島根原発2号機(松江市)の再稼働を進めており、次は島根原発3号機の運転開始を目指す。上関原発はその次。現時点では本体工事の着工時期が見通せないのは事実だ。ただ、電源構成で政府が目標に掲げる「原発比率20~22%」を維持するには、原発新設が当然必要だと考えている。

(2016年8月4日朝刊掲載)

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