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連載・特集

ホロコーストの中の子どもたち 福山の記念館 所蔵品から <5> 収容服 過酷な生活語る

 ホロコースト記念館にある遺品や資料は、世界各地の資料館に協力依頼の手紙を書いたり、収容所に赴いたりして集めた。所蔵品は千点を超える。外国からの来館者が寄贈してくれることもある。展示品は日本人とユダヤ人、世界の人々との深い友情も示している。

 青と白の縦じま模様の収容服は、大きさから子どもが着ていたとみられる。ユダヤ人たちは、極寒の中でも1枚の服しか与えられなかった。記念館の取り組みをドキュメンタリーにしたフランス人映像作家が贈ってくれた品である。

 胸に着けた3センチのダビデの星のバッジは、父がホロコースト生還者のイスラエル人医師から受け取ったものだ。バッジはユダヤ人を差別するため、法で着用が義務付けられていた。

 遺品は史実を語り、われわれに、どんな未来をつくるべきかを問う。1995年の開館以降、17万人が訪れ、約800の学校が学びの場として活用してくれた。教育センターとして、子どもたちにはアンネ・フランクの父オットー氏の言葉を伝えている。「平和をつくるため、何かをする人になってください」(ホロコースト記念館・大塚信館長)=おわり

(2019年5月27日朝刊掲載)

ホロコーストの中の子どもたち 福山の記念館 所蔵品から <1>

ホロコーストの中の子どもたち 福山の記念館 所蔵品から <2> アンネ 幸せのメロディー

ホロコーストの中の子どもたち 福山の記念館 所蔵品から <3> カラフルな命 奪う世界

ホロコーストの中の子どもたち 福山の記念館 所蔵品から <4> 死体焼却 焦げたれんが

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