天風録 『「持ち恥」になる核兵器』
20年10月26日
以前〈飛び恥〉という新語を小欄で引用した。かのトゥンベリさんが発信源。「二酸化炭素を多く排出する飛行機は使いません」と公言して広まった。今はコロナのせいで世界の空も、事情が一変してしまったが▲こちらは、さしずめ〈持ち恥〉だろう。核兵器は持っているだけで恥。保有国の力の源泉である核兵器への評価を失墜させなければいけない―と、カナダ在住の被爆者サーロー節子さんは自伝で述べていた。きのう、その思いをかなえる朗報が届く▲核兵器禁止条約の来年1月の発効が本決まりになった。保有国はおろか日本も参加してはいないが、批准した50カ国・地域に感謝申し上げる▲3年前の国連の条約交渉会合。寂しげな折り鶴の写真が残る。初日に演説しただけで欠席した日本の外交官の机にNGOが置いた。「広島選出の岸田文雄さんが外相なのに、どういうこと」と、サーローさんも日本の記者団に問うたのは当然だろう▲〈飛び恥〉は技術によって、あるいは汚名返上できる。だが国際法違反のそしりを受ける核の〈持ち恥〉に逃げ場はない。サーローさんの自伝の書名は「光に向かって這(は)っていけ」。そして核兵器には永遠の闇を与えよ。
(2020年10月26日朝刊掲載)
険しい道の始まりでもある ヒロシマ平和メディアセンター長 金崎由美
廃絶へ大きな前進 広島市長・知事・坪井氏が期待
歴史的節目 なお残る課題 米露中 軍拡競う様相 日本、抑止力重視鮮明に
締約国会議に保有国を 平和首長会議 国連加盟国などへ書簡
ヒロシマの悲願へ光明 被爆者ら「声出し続ける」
核兵器禁止条約1月発効 「希望が見えた」「参加国広げて」 広島市民・観光客反応
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