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記憶遺産きょう申請 広島市と市民団体 原爆文学5点

 「広島文学資料保全の会」(土屋時子代表)は14日、広島市役所で記者会見し、原爆詩人・峠三吉(1917~53年)たち被爆作家3人の日記や手帳など5点を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)登録に向けて市と共同申請すると発表した。

 申請するのは、峠の「原爆詩集」最終草稿と日記、メモ▽作家原民喜(05~51年)が被爆直後の惨状を記録した手帳▽詩人栗原貞子(13~2005年)が代表作「生ましめんかな」などをつづった創作ノート。いずれも遺族や関係機関から寄託、寄贈を受け、原爆資料館が保管している。

 申請は2015年に続き2度目。土屋代表は「人類が忘れ去ってはならない資料だ。若い世代が3人の言葉の力を継承し、被爆の記憶をより深く知ってほしい。岸田文雄首相の後押しを期待したい」と力を込めた。民喜のおいの原時彦さん(87)=南区=は「原爆でどれだけの人間が殺され、後遺症に苦しんだか。世界に知ってもらうため再挑戦に踏み切った」と語った。

 市は会見を欠席。文化振興課の横山徹也課長は「保全の会の要望を受け、協力して申請する立場だ」としている。

 15日に松井一実市長と土屋代表が連名で文部科学省の審査委員会へ書類を提出する。11月中に最大2件の国内候補を選び、政府がユネスコに申請する。カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(89)たち約260人が賛同人に名を連ねている。(桑島美帆)

(2021年10月15日朝刊掲載)

ユネスコの「世界の記憶」(世界記憶遺産)登録を目指す原爆文学資料

[考 fromヒロシマ] 原爆文学 「世界の記憶」に 峠三吉ら3人の日記やメモ 申請の動き再び

原爆文学「記憶遺産に」 広島の市民団体 日記など5点で再挑戦 国内審査 市と申請へ

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