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社説・コラム

「核問題 日韓で努力を」 韓国大使 本紙インタビュー 岸田政権下 関係改善に期待

 18日に広島市を訪れた韓国の姜昌一(カン・チャンイル)駐日大使(69)が、中国新聞のインタビューに応じた。北朝鮮の核問題について「韓国と日本が手を取り合って努力するべきだ」と強調。冷え込んだ日韓関係にも言及し「韓国政府は関係回復に強い意志がある」として、岸田文雄政権下での関係改善に期待を寄せた。(聞き手は高本友子)

  ―広島を訪れた印象を教えてください。
 1980年代に東京大学に8年間留学し、広島には4回ほど来た。原爆という悲惨な歴史を経験し、真に平和を祈願している人たちが住んでいる街だと思う。

  ―原爆では多くの韓国人も犠牲になりました。
 韓国人の原爆犠牲者の正確な名簿はない。犠牲者の名簿を探す、作る責任は韓国・日本の両政府にある。「資料がない」という理由を前に出すのではなく、両政府の真摯(しんし)な努力が必要だ。

  ―核兵器のない世界へ向け、日本と韓国はどう動くべきでしょうか。
 韓国は、核なき韓半島(朝鮮半島)などを最大の外交的課題として掲げて努力をしてきた。北朝鮮の核問題は、日本にも直接的な脅威。両国は手を取り合って北朝鮮の核を破棄するため努力をしていくべきだ。

  ―日韓関係が悪化している状況をどう見ますか。
 両国の首脳が頻繁に往来するシャトル外交が長い間ないなど、表面的には良くないように見えるが、安全保障や経済、文化などの分野での交流は盛んだ。「最悪」という状態ではないと考えている。

 韓国政府は両国関係の正常化に大変強い意志を持っている。先月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と岸田首相の電話会談で、歴史問題の外交的・政治的解決法を模索していこうという提案もあった。岸田政権の間に、関係が改善されることを期待する。

  ―岸田首相と面会の予定は。
 必要に応じて面談も要請したいと思っているが、今のところ計画はない。両国の関係が良くなれば大使としての役割もおのずと出てくると思う。これからの雰囲気次第だ。

  ―民間交流に期待することはありますか。
 最も重要だ。新型コロナウイルス禍前は、両国間を大勢の観光客が行き来した。最近は日本でも、動画配信サービスで韓国の映画やドラマが大変有名だ。より盛んに民間交流が行われることを期待している。

(2021年11月19日朝刊掲載)

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