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G7、食料危機で結束 岸田首相 270億円支援表明 独サミット ウクライナとの連携 確認

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)は27日(日本時間同)、ドイツ南部エルマウで2日目の討議をした。ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで参加し、年末までに侵攻が終わるよう全力を尽くさなければならないと訴えた。食料危機や温暖化対策を巡ってはG7首脳が途上国などとの結束を確認。岸田文雄首相(広島1区)はウクライナの穀物輸出などを後押しするため2億ドル(約270億円)規模の支援を表明した。(境信重 エルマウ発)

 ゼレンスキー氏は、対ロ制裁継続や対空防衛システムの供与、穀物輸出や復興の支援を求めた。G7首脳は財政、経済面の支援継続の必要性を確認。現地の戦闘終結後を見据え、再建の取り組みに関する準備も始めたい考えでいる。

 岸田首相は「国際的な食料価格の高騰に対応するため、G7として結束して対応していくことが重要だ」と強調。支援を通じてウクライナの穀物貯蔵能力を高めるとした。復興支援については「世界銀行やIMF(国際通貨基金)といったグローバルな機関の協力を得ながら、透明性の高い支援枠組みをつくることが必要だ」と訴えた。

 食料危機などの討議にはアフリカやインドの首脳も招いた。ロシアのプーチン大統領が価格高騰は「G7の無責任な経済政策の結果だ」と批判し、アフリカ連合(AU)の議長国セネガルのサル大統領のように、対ロ制裁が「食料の安定を脅かしている」と受け止める国もあるからだ。中国も制裁に反対している。

 G7は食料品は対ロ制裁の対象外であり、食料不足の責任はロシアによる黒海封鎖にあると反論。途上国などの理解を求めていく。

 岸田首相はサル氏と会談し、食料危機へのG7の対応や、日本の食料支援はアフリカも対象だと説明。日本政府は、援助を行っている国連世界食糧計画(WFP)などへの拠出額を増やし、これとは別にウクライナに対する人道支援で1億ドルを追加拠出する。

 G7首脳は気候変動対策に関しては、脱炭素に関する技術支援をアジアやアフリカに広げていくことを協議した。岸田首相は「カーボンニュートラルの実現とエネルギー安全保障の強化に同時に取り組むことが不可欠だ」と指摘。ロシアを念頭に「特定国のエネルギー資源の依存を回避する上でも、あらゆる手段を活用するべきだ」と述べた。

(2022年6月28日朝刊掲載)

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