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社説・コラム

サミット同行記 境信重 急な追加日程 熱い舞台裏

 G7サミットは予定がめまぐるしく変わる。各国間の調整が水面下で進み、2カ国間の首脳会談など追加の行事が突然発表されることも珍しくない。日本側の報道陣の拠点があるミュンヘンのホテルの大部屋も、ホワイトボードに新たな日程が書き込まれると急に慌ただしくなる。

 例えば、こんなことがあった。途上国などへのインフラ投資支援を巡り、首脳たちによる発表イベントが急きょドイツ時間の26日午後5時過ぎに組まれた。岸田文雄首相は約8兆8千億円の支援を表明した。7時間の時差がある日本は深夜。新聞各社は締め切り時間との闘いだ。

 このイベント追加で、外交・安全保障の討議は開始が30分ほど遅れた。事務方が岸田首相の発言内容を説明し終えた頃、時計の針は午後10時を回っていた。日本では早朝。紙の新聞が家々に届く頃、記者たちはネット速報に追われている。

 雪化粧した南アルプス山脈と森林をバックに肩を組み、カメラに納まるG7の首脳たち。美しく澄んだ光景とは裏腹に、各国の交渉と取材の舞台裏は激しく動いている。

(2022年6月28日朝刊掲載)

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