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日米「同盟」深化へ確認 首脳会談 広島サミット連携 共同声明「核の傘」事実上肯定

 岸田文雄首相は13日午前(日本時間14日未明)、バイデン米大統領とホワイトハウスで会談した。防衛力を強化する日本の方針を、バイデン氏は「歴史的だ」と称賛。被爆地広島で5月にある先進7カ国首脳会議(G7サミット)の意義や連携を確かめた両首脳だが、共同声明では「核の傘」を事実上肯定する形の言葉が盛り込まれた。(ワシントン発 中川雅晴)

 他国のミサイル基地をたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決め、防衛費の大幅な積み増しも図る構えの岸田首相。米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入についてバイデン氏は賛辞を口にし「日米同盟を現代化する」と訴えた。 岸田首相も会談後の講演で防衛力強化を「戦後の安全保障政策を大きく転換する決断をした」と述べた。

 両首脳は、反撃能力を含む日本の防衛力強化での協力を閣僚に指示した。攻撃目標を探るための小型人工衛星群の構築や、中国が導入を進める「極超音速兵器」に対応した共同研究などを想定している。

 約2時間の会談後、両首脳は共同声明を発表した。広島サミットに関しては「法の支配に基づく国際秩序の堅持に対するG7のコミットメント(関与)を示すため、サミットの成功に向けて引き続き緊密に連携していく」と強調。ただ、声明の前段では「バイデン大統領は、核を含むあらゆる能力を用いた、日米安全保障条約第5条の下での、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを表明した」としている。

 両首脳は、中国による国際秩序への挑戦を批判。宇宙や半導体など新興技術分野で日米が優位性を確保する決意を示し、同志国間で強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)を構築するとした。

 ロシアのウクライナ侵攻は「不当かつ残虐な侵略戦争」と断じ、対ロ制裁とウクライナへの支援継続を表明した。

(2023年1月15日朝刊掲載)

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