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辻村寿三郎さん死去 89歳 人形作家「新八犬伝」

 三次市ゆかりの人形作家でNHKテレビ人形劇の「新八犬伝」や「真田十勇士」で知られる辻村寿三郎(つじむら・じゅさぶろう)さんが5日午後11時27分、心不全のため、三次市の病院で死去したことが13日、分かった。89歳。旧満州(中国東北部)生まれ。葬儀は関係者で行った。喪主は二代目辻村寿三郎として活動する川崎員奥(かわさき・かずお)さん。

 妖艶な作風で知られ、独自の創作世界を切り開いた。舞台衣装のデザインなどでも活躍した。

 1944年、11歳で中国大陸から養父母の故郷である広島県に引き揚げた。三次市で約10年間過ごし、22歳のとき演劇を志して上京。その後、人形制作を本格的に始めた。

 73年放送開始の「新八犬伝」で人形美術を手がけ、大ヒット。故蜷川幸雄さん演出の舞台「王女メディア」などの衣装のほか、映画衣装も担当した。「真田十勇士」などで芸術選奨文部大臣新人賞、人形劇「海神別荘」で芸術祭優秀賞を受賞した。

 2013年、三次市に辻村寿三郎人形館が開館。14年に三次市芸術文化栄誉賞、15年に中国文化賞を受けた。16年に東京から三次市へ移住し、病気療養が続いていた。(西村文)

(2023年2月14日朝刊掲載)

辻村寿三郎さんを悼む 独自の創作 戦時下に原点

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