×

ニュース

今井政之さん死去 創作拠点の竹原 悲しみ 「地域の芸術振興に寄与」

 陶芸家で文化勲章受章者の今井政之さんが92歳で亡くなった6日、少年時代を過ごし、創作拠点のある竹原市内では突然の訃報に悲しみが広がった。

 市役所1階ロビーに飾られ、来庁者の目を引くトキの絵柄の大皿。2012年、名誉市民になった際、今井さんが寄贈した。家族ぐるみで親交のあった今栄敏彦市長は一報を受け「1月にお会いしたときは元気にされていた。竹原を大切に思い、地域の芸術振興に大いに寄与された。本当に残念だ」と述べた。

 今井さんは13歳で父の古里の竹原市内に移り住み、1947年に竹原工業学校(現竹原高)を卒業。78年、海を望む高崎町の高台に豊山窯を構え、毎年春と秋の火入れには、関係者や住民を招いた。同校で同級生だった坂元静馬さん(92)は「真剣で、ものづくりの話をすると止まらなかった。一緒に100歳まで頑張ろうと励まし合っていたのに…」と肩を落とした。

 市内の支援者でつくる「竹豊会」の日谷博光会長(83)は「竹原の海辺で遊んだ話をよくしてくれたのが印象的で、創作に大きく影響していたのだろう。ゆっくり休んでほしい」と冥福を祈った。

 市は7~10日に市民館ロビーに献花台と記帳台を設ける。また、旧光本家住宅・今井政之陶芸の館(本町)を7~13日無料開放する。(渡部公揮)

(2023年3月7日朝刊掲載)

今井政之さん死去 陶芸家 面象嵌を確立 92歳

今井政之さん死去 巨匠でもおおらか ゆかりの人しのぶ

年別アーカイブ