×

ニュース

[NPT準備委] 本会議 異例の非公開 各国折り合わず幕切れ 国別報告に意見噴出

 2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会で、アジュマン議長は最終日の9日、午前の本会議を非公開にする「異例の措置」(軍縮筋)を取り、NPT体制の強化に関する決定事項案の合意を目指した。核軍縮に関する国別報告の在り方が焦点で、有志国による非公式協議も続けたが、折り合わなかった。(ニューヨーク発 宮野史康)

 午前10時過ぎにこの日の討議が始まるとすぐにアジュマン議長が告げた。「素直な対話を促すため非公開としたい」。国連職員が、非政府組織(NGO)の関係者や記者に退出を促した。

 複数の外交筋によると、議長自らの判断で、事前調整はなかったようだ。閉ざされた議論では各国が発言。国別報告を巡り、核軍縮に特化する▽核不拡散、原子力の平和利用を含める▽核の傘の是非を検討する―など意見が噴出したという。

 3時間後に議場から出てきた外交官たちは「何も決まっていない」「合意の可能性はある」「再検討会議に持ち越そうという意見が出た」などと口々に語り、隣の会議室に直行。昼の休憩時間を使い、有志国で決定事項案の文言を調整する非公式協議に入った。

 途中で抜け出した外交官の一人は「具体的な話ではない。核軍縮の大ざっぱな話だ」と説明。午後3時12分に会議室から外交官が出始め、別の一人は「結論は出ていないが討議は終わった」と、重苦しい雰囲気を漂わせた。

 再開後の本会議は公開で進んだ。アジュマン議長は冒頭で、意見の相違を理由に勧告案の採択見送りをまず表明。手続き事項の議事をひと通り終えると、「決定事項の改訂版は全会一致に達しなかった」と報告した。午後4時50分ごろ、2週にわたる討議は予定時間を1時間余り残し、あっさりと終わった。

(2025年5月11日朝刊掲載)

NPT準備委 勧告採択できず閉幕【解説】保有国の主体性乏しく

[NPT準備委] 勧告採択できず閉幕 体制立て直し案も断念

年別アーカイブ