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埋め立て免許延長 上関原発 山口県が許可

 山口県は3日、中国電力が上関原発(同県上関町)を建設するために申請していた公有水面埋め立て免許の延長を許可した。中電の3度の申請が一括して認められ、2012年10月7日だった免許期限が19年7月6日に延びた。上関原発への県民の賛否が割れる中、村岡嗣政知事が、可否判断を先送りしてきたこれまでの対応を大きく転換した。

 同時に村岡知事は「原発本体の着工時期の見通しがつくまでは埋め立て工事をしない」よう要請した。中電は従う意向だ。中電は11年3月の福島第1原発事故を受けて中断した工事を再開できる状況が整ったが、本体工事に着手する見通しは立っておらず、当面は予定地に動きはない。

 県庁で記者会見した村岡知事は、許可した根拠について、中電がことし6月22日に提出した7度目の補足説明を挙げた。経済産業省資源エネルギー庁が「上関原発の重要電源開発地点指定は引き続き有効だ」と回答した文書を示したとして「埋め立てた土地を実際に使う見込みがあると確認できた。法律の要件を満たしており、許可せざるを得ない」と繰り返した。

 一方で工事が再開できないまま、再び免許の期限を迎える可能性もある。村岡知事は「その時点でまた延長申請などがあると思う。許可できるかどうか審査する」と説明。延長申請と許可を繰り返しながら、結果として「原発の新増設については現時点では想定していない」(安倍晋三首相)とする政府方針の転換を待つ事態も想定される。

 許可書と要請文は3日、県庁で弘中勝久副知事が迫谷章副社長に手渡した。弘中副知事は「慎重かつ厳正に審査を重ね、公有水面埋立法に基づき許可すると決めた」と説明。迫谷副社長は「大変ありがたい。要請の趣旨を重く受け止め、しっかり検討する」とした。

 中電は同埋立法に基づき08年10月、当時の二井関成知事から免許を受けて、09年10月に工事に着手した。工事中断後、中電は12年10月、15年5月、ことし6月22日の計3度にわたり延長を申請。最初に申請した当時の故山本繁太郎知事が13年3月に可否判断を1年程度先送りし、山本知事の病気退任を受けて14年2月に就任した村岡知事も方針を踏襲していた。(村田拓也)

(2016年8月4日朝刊掲載)

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