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ヒロシマの悲願へ光明 被爆者ら「声出し続ける」

 核兵器禁止条約の批准国・地域が発効に必要な50に達したと伝わった25日、被爆地広島の被爆者や市民たちは広島市中区の平和記念公園で集会やイベントを開き、喜びを分かち合った。「これからが本番」。条約発効を核兵器の廃絶につなげるため、核兵器保有国や日本政府などに参加を求める取り組みを続けると誓った。(水川恭輔、猪股修平)

 「唯一の戦争被爆国日本も批准を」。約170人が参加した原爆ドーム前の集会では、被爆者団体の代表や湯崎英彦広島県知事、松井一実市長たちが横断幕を掲げ、批准した50カ国・地域の国旗を振った。

 「良かった。この日が本当に待ち遠しかった」。県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行(78)はマイクを握り、喜びをかみしめた。

 2017年に国連で開かれた条約交渉会議に合わせて渡米し、核兵器の禁止・廃絶を求める約300万筆(当時)の「ヒバクシャ国際署名」の目録を届けた。同年7月の条約制定後も、批准を広げようと街頭などで署名集めを続けてきた。

 3年3カ月かかって到達した「50」の批准。「核兵器廃絶に向けて声を出し続けることが大事だ」と市民の役割を強調する一方、米国の「核の傘」に依存し条約に背を向ける日本政府に対し「恥ずかしい思いだ」と悔しさをにじませた。

 同じく署名を集めている、もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(76)は国際署名が1261万2798筆(9月18日時点)に達したと報告。「条約発効が核兵器廃絶につながるよう、もっともっと運動を広げよう」と呼び掛けた。

 市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」の森滝春子共同代表(81)は、条約が核兵器を脅しに使うことも禁じるなど核抑止政策を否定している点に触れ、「(廃絶への)最大最強の道具を勝ち取った」と力を込めた。

 原爆慰霊碑前では、広島平和文化センターが開いた集いに若者30人が参加した。80個のろうそくがともされ、廃絶への行動の誓いなどを日本語と英語で読み上げた。 (動画はこちら) 盈進高(福山市)1年伊藤咲夢さん(15)は「ここに眠る人や、苦しみながら生きる被爆者の思いを忘れず、行動を続けたい」と話した。

 レストハウスでは、非政府組織(NGO)ピースボート(東京)によるオンラインイベントに市民が参加。19歳で被爆死した河本明子さんが愛用していたピアノを紹介し、平和の願いを伝えた。

(2020年10月26日朝刊掲載)

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