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運動旗振り役 訃報続く 広島・長崎 活動継承が課題

 被爆から70年以上が経過し、核兵器廃絶を目指す被爆者の運動をけん引してきた人たちの訃報が相次ぐ。被爆者健康手帳を持つ人の平均年齢は3月末時点で83・94歳。1月には核兵器禁止条約が発効したが、核兵器廃絶の見通しは立っておらず、次世代に活動をどうつなぐかが課題になる。

 「古くから活動してきた仲間がまた一人減った。さみしい思いだ」。日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(89)=埼玉県新座市=は、同じく代表委員の坪井直さんの訃報に声を落とした。

 昨年9月には、広島で被爆し、日本被団協代表委員や顧問を務めた岩佐幹三さんが91歳で死去した。原爆に母と妹を奪われ、家族の死を無駄にしないと核兵器廃絶を目指す運動をリード。坪井さんとともに「ヒバクシャ国際署名」の呼び掛け人を務め、禁止条約制定の機運醸成に尽力したが、条約の発効までは見届けられなかった。

 長崎で被爆し、やはり代表委員だった谷口稜曄(すみてる)さんも17年8月に88歳で亡くなった。熱線で焼けただれた自身の体を撮影した「赤い背中の少年」の写真を掲げ、証言を重ねた。国内外の次世代に核兵器の非人道性を伝える大きな役割を果たした一方、晩年には「被爆者がいなくなったとき、どんな世界になっていくのか」と憂えていた。

 非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲(あきら)国際運営委員(52)は、被爆者の証言が核兵器を非人道性の問題から捉える力になったとし、「被爆者の話を聞いた人たちが努力をして核兵器を禁じる条約ができた」と強調。「大きな方向性を指し示した人たちが亡くなっていく。被爆者が話してくれたことを絶えず思い返さないといけない」と話している。(水川恭輔、樋口浩二、明知隼二)

(2021年10月28日朝刊掲載)

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