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首相「思い胸に前進む」 親交あった議員ら悼む声

 被爆者運動をけん引してきた日本被団協代表委員の坪井直さんの訃報を受け、岸田文雄首相は27日、被爆地選出の首相として「核兵器のない世界の実現に向けて坪井さんの思いを胸に刻みながら前に進んでいく覚悟だ」とかみしめるように語った。

 官邸で報道陣の取材に応じた。外相だった2016年5月、当時のオバマ米大統領が広島を訪れた際に核兵器廃絶を直訴した姿を一番の思い出に挙げ、「今でもあの光景が浮かぶ」としのんだ。坪井さんが願った核兵器禁止条約への参加には「核兵器国が一国も参加していない」と消極的な姿勢を改めて示した。

 親交のあった国会議員らもその存在感をたたえた。自民党の被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟会長の河村建夫氏は官房長官時代の09年、政府と日本被団協が合意した原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針づくりに関わった。「唯一の戦争被爆国として坪井さんの核廃絶の遺志を継いでいきたい」と話した。

 立憲民主党の森本真治氏(参院広島)は広島市議時代から交流がある。「核兵器はなくせるという力強いメッセージが頭から離れない。核廃絶を中心に据えて活動し続ける」と誓った。

 共産党の志位和夫委員長は10年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議などの国際会議で「核廃絶の熱い思いを感じた」と強調。核兵器禁止条約は坪井さんらの活動が生んだ成果とし、「一刻も早い署名・批准を政府に求めていく」と訴えた。(樋口浩二、桑原正敏、境信重)

(2021年10月28日朝刊掲載)

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