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「核なき世界への一歩に」 国際賢人会議 広島で初会合 岸田首相がメッセージ

 核兵器廃絶の道筋を国内外の有識者や外交官が探る国際賢人会議が10日、広島市南区のグランドプリンスホテル広島で始まった。初会合は11日までの2日間。ロシアが「核の脅し」を繰り返し、国際社会に核抑止論も高まる中、岸田文雄首相は開会メッセージで「厳しい現実を踏まえ、どう動くべきか具体的な方策を示してほしい。核兵器のない世界に向けた重要な一歩となるよう願う」と訴えた。

 核兵器保有国と非保有国の委員が立場を超えて議論する場として首相が提唱。初会合には、委員全15人のうち米国、ロシア、中国や、核兵器禁止条約に賛同するニュージーランドなどの12人が集い、首相のメッセージが代読された。

 また、首相が外相時代に創設した有識者たちの賢人会議から政治指導者にも顔ぶれを広げ、6人がビデオメッセージを寄せた。2016年に現職米大統領として初めて広島を訪れたオバマ氏は、核軍縮を巡る厳しい国際情勢に触れ「次代のため、核兵器のない世界を追求しなければならない」と語った。

 その後、委員たちは非公開で討議したのに続き、爆心地から2・5キロの己斐本町(現西区)で被爆した八幡照子さん(85)=広島県府中町=から証言を聴き、放射線被害の影響などについて質問した。日本被団協の箕牧(みまき)智之代表委員(80)=同県北広島町=や核兵器廃絶に取り組む若者たち18人とも意見交換した。

 座長を務める熊本県立大の白石隆理事長は初日終了後の取材に、非公開の討議では核軍縮を阻む要因などを整理したと報告。「密度の濃い議論ができた」と述べた。11日は原爆資料館(中区)を見学した後、議論を深める。閉会セッションには首相が出席する。

 首相は23年5月に地元広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)への弾みにしたい考えで、23年度も広島市で国際賢人会議を開く。(樋口浩二)

(2022年12月11日朝刊掲載)

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