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核廃絶 次代への責務 オバマ氏ら6人がメッセージ

 広島市で10日始まった国際賢人会議に、オバマ元米大統領や国連のグテレス事務総長がビデオメッセージを寄せた。核兵器廃絶の議論へ政治指導者の「関与」を得たい日本政府の求めに応じた形。緊迫するウクライナ情勢下で「核兵器のない世界」に向けた議論の進展に期待した。

 オバマ氏は、2016年5月に現職の米大統領として初めて広島を訪れた経験を「決して忘れられない。世界で核兵器の脅威を減らすという決意を強くした」と述懐した。事前収録で時間は約1分間。核軍縮を巡る国際情勢の厳しさに触れ「次代のため、私たちは核兵器のない世界を追求する責務がある」と訴えた。

 現職首脳は、安全保障を米国の「核の傘」に頼る2カ国から届いた。ドイツのシュタインマイヤー大統領は「被爆者に対し、私たちは核兵器のない世界を実現させるための揺るぎない約束を果たす義務がある」と指摘。オーストラリアのアルバニージー首相は「核兵器のない世界へ力を合わせ続けよう」と呼びかけた。

 今年の広島市の平和記念式典に出席したグテレス氏は「核の脅威に終止符を打ってほしいという被爆者の訴えを心に留めなければならない」と強調。16年に市を訪れたモゲリーニ欧州大学院大学長も「広島は核兵器の使用がいかに悲劇をもたらすか思い起こさせる」と被爆地に心を寄せた。

 エルバラダイ元国際原子力機関(IAEA)事務局長は「より安全な世界をつくるためにできることはたくさんある」とし、核兵器の「先制不使用」政策の採用や包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効を挙げた。 (小林可奈)

(2022年12月11日朝刊掲載)

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