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原爆の惨禍知り議論を 国際賢人会議 被爆者ら直接訴え

 原爆の惨禍を踏まえた議論を―。広島市で開幕した国際賢人会議初日の10日、国内外の委員に向き合った被爆者たちは自らの壮絶な体験に触れ、一日も早い核兵器廃絶につながる提言を求めた。核兵器を持たない国で賛同が広がる核兵器禁止条約の推進も訴えた=1面関連。(宮野史康、山本庸平)

 「なぜ私たちが核兵器の廃絶を訴えるのか。被爆体験が原点。原爆資料館の見学や被爆証言を基に、再び核兵器を使ってはいけないと意識した上で議論してほしい」。原爆資料館(中区)の元館長で被爆者の原田浩さん(83)は委員を真っすぐ見つめて、伝えた。

 約1時間の意見交換は初会合の会場となった南区のホテルの一室であり、報道各社に公開された。被爆者や市民団体代表たち18人が出席。委員12人はうなずいたり、メモを取ったりして耳を傾けた。

 「B29爆撃機が飛んできて原爆が落とされる場面を想像してほしい」と投げかけたのは日本被団協代表委員で広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)。長崎で被爆した日本被団協の木戸季市事務局長(82)は「核兵器は戦争をなくす力になっていない。核抑止論は欺瞞(ぎまん)だ」と指摘し、核兵器禁止条約に触れた。地元のNPO法人の渡部朋子理事長(69)も「核と人類は共存していけるのか」と迫った。

 委員からは「世代を超えてどう被爆体験を伝えているのか」「安全保障を核に頼る国内でのギャップをどう乗り越えていくのか」などの質問が出た。

 終了後、もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(78)は「日本政府を禁止条約の批准や核兵器廃絶に突き動かすような提言を」と期待。意見交換に先立って委員に被爆体験を証言した府中町の八幡照子さん(85)は「被爆者のささやかな声かもしれないが、核廃絶のための議論に生かしてほしい」と願った。

(2022年12月11日朝刊掲載)

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