中国・長崎・朝日3社合同 被爆者アンケート 体験「伝わっている」半数切る 3564人回答 継承に危機感
25年7月6日
米軍による広島、長崎への原爆投下から80年を前に、被爆者が記憶の継承に危機感を強めていることが、中国新聞、長崎新聞、朝日新聞による初の3社合同アンケートから浮き彫りになった。43都道府県の3564人が回答。体験や思いが次世代に「伝わっている」と思う人は48・9%と半数を切った。政府が核兵器廃絶に積極的とみる人は、わずか6・2%。「核兵器のない世界」の実現を危ぶむ声が強い。(編集委員・田中美千子)
アンケート用紙は、日本被団協や二つの広島県被団協をはじめ各地の被爆者団体、関連施設などの協力を得て1月末から配布。全国約1万1千人の被爆者に郵送や手渡しした。回答者の平均年齢は85・5歳。100歳を超える人もおり、全体の16・2%は家族や支援者による代筆だった。
「体験や思いは次世代に伝わっていると思うか」との問いに「十分伝わっている」は5・0%。「ある程度伝わっている」は43・9%だった。「あまり伝わっていない」(33・3%)と「まったく伝わっていない」(3・2%)は、合わせて36・5%だった。
中国新聞が10年前、全国の被爆者を対象に単独でした被爆70年アンケート(1526人回答)では、58・7%が次世代への継承が「できている」「ある程度できている」と答えた。単純比較はできないが、10ポイント近く下がり、記憶の風化に懸念を強める姿がうかがえる。
また今回のアンケートでは、核兵器廃絶に向けた日本の姿勢を積極的と「思わない」が56・4%を占め、「思う」は1割にも満たなかった。「廃絶は可能か」の質問では「思わない」(36・9%)が「思う」(27・9%)を上回った。
米国の「核の傘」に頼る日本などの核抑止政策は半数超が否定。核兵器禁止条約に「即座」「将来」の参加を求める声は8割を超え、「核なき世界」を巡る政府と被爆者の溝も裏付けられた。政府に死没者を含む国家補償を求めたのは29・2%。米国に原爆投下責任と謝罪を求める意見はほぼ半数だった。
(2025年7月6日朝刊掲載)
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アンケート用紙は、日本被団協や二つの広島県被団協をはじめ各地の被爆者団体、関連施設などの協力を得て1月末から配布。全国約1万1千人の被爆者に郵送や手渡しした。回答者の平均年齢は85・5歳。100歳を超える人もおり、全体の16・2%は家族や支援者による代筆だった。
「体験や思いは次世代に伝わっていると思うか」との問いに「十分伝わっている」は5・0%。「ある程度伝わっている」は43・9%だった。「あまり伝わっていない」(33・3%)と「まったく伝わっていない」(3・2%)は、合わせて36・5%だった。
中国新聞が10年前、全国の被爆者を対象に単独でした被爆70年アンケート(1526人回答)では、58・7%が次世代への継承が「できている」「ある程度できている」と答えた。単純比較はできないが、10ポイント近く下がり、記憶の風化に懸念を強める姿がうかがえる。
また今回のアンケートでは、核兵器廃絶に向けた日本の姿勢を積極的と「思わない」が56・4%を占め、「思う」は1割にも満たなかった。「廃絶は可能か」の質問では「思わない」(36・9%)が「思う」(27・9%)を上回った。
米国の「核の傘」に頼る日本などの核抑止政策は半数超が否定。核兵器禁止条約に「即座」「将来」の参加を求める声は8割を超え、「核なき世界」を巡る政府と被爆者の溝も裏付けられた。政府に死没者を含む国家補償を求めたのは29・2%。米国に原爆投下責任と謝罪を求める意見はほぼ半数だった。
(2025年7月6日朝刊掲載)
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