米国の原爆投下、日本の敗戦から間もなく六十年を迎える。
被爆者たちは、あの体験を二度と繰り返してはならないと、世界平和と核兵器廃絶を訴えてきた。しかし地球を幾たびも死滅させるだけの核兵器が現に存在し続ける。
一方、忌まわしい記憶を封印したまま暮らす被爆者がいかに多いかも、私たちは知っている。
その被爆者に、老いが忍び寄る。
私たちは「あの日」の体験をきちんと受け止めただろうか。被爆者の記憶を語り継いでいくことができるだろうか。原爆をその威力としてではなく、人間にもたらした悲惨さとして、将来に伝えられるだろうか。
次代を担う若者たちが、半世紀ほどの年齢差を超えて被爆者に向き合う。その半生を聞く。被爆者が発する「未来への伝言」に耳を傾ける。そんな対話を、これから始める。 |