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核兵器廃絶へ宣言採択 50項目の行動計画も 禁止条約会議閉幕 被爆者の「貢献」に敬意

 オーストリア・ウィーンで21日から開かれていた核兵器禁止条約の第1回締約国会議は最終日の23日、核兵器の廃絶と非人道性を訴える「ウィーン宣言」と、加盟国の指針を示した「行動計画」を採択して閉幕した。ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器使用のリスクが高まる中、宣言は「核兵器の使用や核による脅しは国際法違反だ」と強調。核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の手段は廃絶だと訴えた。(小林可奈 ウィーン発)

 宣言は、核兵器がもたらすリスクを強調した上で、全ての保有国に「いかなる状況でも核の使用や威嚇をしない」よう求め、条約の重要性を強調。米国や日本などを念頭に「保有国や『核の傘』の下にある同盟国が、核兵器への依存を減らすため真剣に策を講じていないことを遺憾に思い、深く憂慮する」と指摘した。

 核兵器の非人道性を訴え続けてきた被爆者については「価値ある貢献をしてきた」と敬意を示し、今後も核兵器廃絶に向けた活動に協力していくとした。宣言の草案には、名指しは避けつつロシアによる核兵器使用の威嚇を批判する表現があったが削った。議長を務めたオーストリア外務省のクメント軍縮局長は「参加国の意見のバランスを取るため」と説明した。

 行動計画は50項目。条約の批准国を増やすため外交手段などを通じ非締約国に接触する▽核兵器の被害者支援と環境修復は、影響を受ける地域社会と緊密に協議する▽科学的、専門的な助言をする専門家グループを設立する▽年齢と性別に配慮した被害者支援を進める―ことなどを示した。

 第2回締約国会議は2023年11月27日~12月1日、米ニューヨークの国連本部で開く予定。禁止条約の制定に尽力したメキシコが議長国を務める。

 国連によると、第1回締約国会議には「核同盟」の北大西洋条約機構(NATO)に加盟するドイツ、ノルウェーなどのオブザーバーを含め83カ国が参加。広島市の松井一実市長がスピーチし、若者や非政府組織(NGO)も会場入りした。条約を批准していない日本政府はオブザーバー参加を見送った。

(2022年6月25日朝刊掲載)

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