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[NPT再検討会議2022] 広島サミットへ 「具体成果出す」 核軍縮論議で首相

 岸田文雄首相は1日、米ニューヨークの国連本部で開幕した核拡散防止条約(NPT)再検討会議で演説後、最終文書採択などの成果を上げ、来年5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)での核軍縮の議論へつなげたい考えを示した。被爆地選出の首相が率いる政府として核兵器保有国と非保有国の歩み寄りを促し、「核兵器のない世界」へ進む合意形成を図れるかが焦点となる。(ニューヨーク発 樋口浩二)

 首相は演説後に国連本部近くで報道各社の取材に応じ「広島サミットにつなげるため、再検討会議で具体的な成果を出すようしっかり努力したい」と強調した。核軍縮・不拡散問題を担う被爆2世の寺田稔首相補佐官に、各国との交渉を託す構えだ。

 一方、首相は演説で核兵器禁止条約に触れなかった理由を「理想に向け現実的な取り組みを示すのが大事だとの思いでスピーチをつくった」と説明。保有国と非保有国の亀裂を深めている禁止条約は、現時点で現実的な核軍縮につながらないとの認識をにじませた。

 演説終盤に掲げた折り鶴については、米国渡航中に自ら3羽を折ったと明かした。広島で被爆後、折り鶴を折りながら白血病のため12歳で亡くなった佐々木禎子さんを意識したとし「禎子さんの物語に海外の多くの人が感銘を受けている。より多くの人々と核兵器のない世界を目指す思いを示した」と語った。

 首相はこの日、ニューヨークであった、日本を含む非核保有12カ国でつくる「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」の会合に出席。「いかに険しい道でも、核兵器のない世界に向け共に歩みたい」と協力を呼びかけた。国連内では国連のグテレス事務総長と会談し、6日に広島市が営む平和記念式典出席を歓迎。再検討会議の成功に力を合わせると確認した。

(2022年8月3日朝刊掲載)

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