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[NPT再検討会議2022] 露への痛烈批判相次ぐ 一般討論演説 波乱の幕開け

 米ニューヨークの国連本部で1日に開幕した核拡散防止条約(NPT)再検討会議の一般討論演説で、ウクライナに侵攻し、核兵器使用を示唆した核超大国ロシアへの痛烈な批判が、各国から相次いだ。米国は核抑止力の悪用だと糾弾し、ウクライナも「NPTの3本柱を侵害している」と警告。核軍縮の道筋などの合意形成へ、予想通り波乱の幕開けとなった。(ニューヨーク発 小林可奈)

 米国はブリンケン国務長官が登壇した。ロシアのプーチン大統領による核兵器使用の示唆に触れて「世界のいかなる場所も、強制や脅しに基づく核抑止は受け入れられない」と非難。ウクライナ侵攻は、自衛のための核兵器保有にもつながりかねない「最悪のメッセージ」と断じた。

 初日に意見表明した三十余りの国やグループのうち、少なくとも十数カ国から対ロシア非難が噴出した。当事国のウクライナ政府の代表は住宅や学校、病院が連日攻撃を受けている現状を厳しい口調で報告。ロシアの核開発などを挙げ、核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用というNPTの3本柱を「残酷に侵害している」と訴えた。

 再検討会議の開幕に合わせ米英仏3カ国は1日に閣僚声明を出し、核による威嚇をやめるようロシアへ要求。3カ国に中ロを加えた核兵器保有五大国の首脳が1月に発表した「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならないことを確認する」とうたう共同声明の履行を求めた。

 最終文書の採択には五大国で一致点を見いだすのが重要だが、早くも不透明感が漂う。初日に、ロシアの演説はなかった。

 このほかに、6月に第1回締約国会議が開かれた核兵器禁止条約を巡る発言もあった。条約推進国のアイルランドは「禁止条約とNPTは補完できる」と強調。欧米の「核同盟」である北大西洋条約機構(NATO)に加盟しながらオブザーバー参加したドイツのベーアボック外相は「核兵器がもたらす人道的な影響に対処するための協調と対話を望む」と、条約に関わる意義を説いた。

(2022年8月3日朝刊掲載)

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