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中国地方 17人目の首相 日本のかじ取り役 脈々と担う

 中国地方5県の選出・出身の首相は、4日就任した岸田文雄氏で計17人となった。歴代の全64人のうち、4人に1人を占める。戦前は明治維新を成し遂げた山口県の出身者が目立ち、戦後は広島、山口両県の選挙区からそれぞれ3人を輩出。脈々と日本のかじ取り役を担う。

 都道府県別の首相の選挙区(戦後のうち東久邇宮稔彦、幣原喜重郎両氏を除く)、出身地(両氏と戦前)は、山口県が8人で最多を誇る。初代の伊藤博文氏、第3代の山県有朋氏たち5人が戦前に宰相となった。第26代の田中義一氏が1929年に退陣した後は遠のいたが、戦後の57年に第56代で岸信介氏が就任。その弟の佐藤栄作氏、孫の安倍晋三氏が続いた。

 広島県は第100代首相の岸田氏を含めて4人。山口県、東京都(5人)に次いで3番目に多い。戦前は、日露戦争の日本海海戦で連合艦隊の参謀長を務めた加藤友三郎氏が22年に第21代、県出身で初めて首相に就いた。戦後は60年に池田勇人氏が第58代、宮沢喜一氏が91年に第78代となった。戦後に限れば群馬県の4人に次ぎ、山口県と並んで2番目の多さだ。

 中国地方の残る3県のうち、岡山県は犬養毅氏、平沼騏一郎氏、橋本龍太郎氏の3人が首相になった。島根県は若槻礼次郎氏、竹下登氏の2人が就任した。

 一方、鳥取県からは一人も誕生していない。自民党の石破茂元幹事長(鳥取1区)が2008~20年、総裁選に計4度挑み、いずれも敗れている。

 過去には、安倍氏の父の晋太郎氏が竹下、宮沢両氏と首相の座を競ったが、たどり着けぬまま病気で亡くなった。衆院旧山口1区の林義郎氏や、広島6区の亀井静香氏も挑んだ。

 中国地方から首相候補が相次いで出る背景には、政治家それぞれの研さんや永田町の力学に加え、自民党への支援層が比較的厚く、当選を重ねながら順調にステップアップできるという選挙区事情もありそうだ。将来、岸田氏に続いて首相の座を射止めるのは誰になるのか、注目される。(岡田浩平)

(2021年10月5日朝刊掲載)

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