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被爆地の首相 今後に注目 ICAN「指導力に期待」 被爆者ら「存在感示して」

 岸田文雄氏が首相に選出された4日、被爆者や反核活動家たちから注文が相次いだ。米国の「核の傘」に依存する政策を堅持する日本は、核兵器禁止条約に後ろ向きであり続けるのか―。被爆地を地盤とする首相の今後に注目している。

 ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン)、本部スイス)のベアトリス・フィン事務局長(38)は「指導力に期待する」と祝意を表す書簡を岸田氏の議員事務所に電子メールで送った。

 岸田氏が核軍縮を公約に掲げ、外相だった2013年には核兵器の非人道性と不使用を訴える国連総会第1委員会(軍縮)での共同声明を支持したことを評価。来年3月に開催が予定される禁止条約の締約国会議について「お目にかかる機会があることを期待している」とオブザーバー参加を促した。国内の市民団体との議論や、被爆者との協力を深めることも提案した。

 被爆者たちも、禁止条約への署名、批准はもとよりまずはオーストリア・ウィーンで初の開催となる締約国会議にオブザーバーとして参加するよう求めた。

 広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行(79)は「自ら出席し、条約推進国の発言を聞いてほしい。政府内の反対を押し切ってでも行動し、世界に存在感を示して」。もう一つの広島県被団協の佐久間邦彦理事長(76)は「被爆者と向き合う政策を進め、非核三原則を堅持しなければならない」とも注文した。

 長崎で被爆した日本被団協の田中熙巳代表委員(89)=埼玉県新座市=は「安倍政権で外相だった17年、政府が条約の交渉会議への不参加を決めるなど『広島選出』の片りんは見えなかった。『さすが核兵器問題についてはしっかりしている』と言われる外交が求められる」と強調した。(桑島美帆、水川恭輔、小林可奈)

(2021年10月5日朝刊掲載)

ベアトリス・フィン事務局長の書簡はこちら

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