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第100代首相に岸田氏 被爆地広島から選出 内閣発足 初入閣13人 コロナ対策最優先

 自民党の岸田文雄総裁(64)=衆院広島1区=は4日、衆参両院本会議の首相指名選挙で第100代首相に選出された。広島市からは戦前の加藤友三郎氏以来で、被爆後は初めて。皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て同日夜、自民、公明両党による岸田内閣が発足した。1年余りで退陣した菅義偉前首相(72)から新型コロナウイルス対策や経済再生など難しい課題を引き継ぐ。(下久保聖司)

 岸田氏は官邸で就任記者会見に臨み、コロナ対策に最優先で取り組み、数十兆円規模の経済対策も策定する方針を改めて表明。「新しい資本主義」の構築を掲げ、成長と分配の好循環で格差是正を目指す考えを示すとともに、国民の意見を取り入れ「新時代共創内閣」を目指すと訴えた。

 1月に発効した核兵器禁止条約の署名、批准には慎重な構えを示したが、「バイデン米大統領は『核兵器のない世界』を目指すと世界に向けて発信している。意思疎通を図り、大きな目標に向けて何ができるか考えたい」と述べた。

 衆院の首相指名選挙は投票総数458票で、岸田氏311票、立憲民主党の枝野幸男氏124票、日本維新の会の片山虎之助氏11票、国民民主党の玉木雄一郎氏11票、自民党の高市早苗氏1票。参院は投票総数241票で、岸田氏141票、枝野氏65票、片山氏15票、玉木氏15票、無所属の嘉田由紀子、渡辺喜美両氏が各2票、国民民主党の伊藤孝恵氏1票だった。

 松野博一官房長官(59)が20人の閣僚名簿を発表した。総裁選を争った野田聖子氏(61)を「こども庁」創設に向けた担当相に充てたほか、13人を初入閣させた。新設の経済安全保障担当相に登用した小林鷹之氏(46)ら衆院当選3回の3人の若手も抜てき。女性閣僚は3人だった。

 中国地方では公明党の斉藤鉄夫副代表(69)=衆院比例中国=が国土交通相として再入閣。岸信夫防衛相(62)=衆院山口2区=は茂木敏充外相(65)とともに再任された。外交・安全保障政策に一貫性を持たせるためとみられる。

 文部科学相を務めた萩生田光一氏(58)は経済産業相に横滑りさせた。経済再生担当相の山際大志郎氏(53)は新しい資本主義など、岸田氏が総裁選で訴えた政策の担当を兼務する。

 広島県に地盤を置く首相の誕生は1991年の宮沢喜一氏以来30年ぶり4人目。大正期の1922年就任の加藤氏が最初で、60年に池田勇人氏が就いた。

 菅内閣は4日午前の臨時閣議で総辞職した。首相在職は384日で、戦後の34人中、12番目に短かった。

 岸田文雄氏(きしだ・ふみお)早大卒。日本長期信用銀行員、衆院議員秘書を経て93年に衆院初当選。自民党青年局長、沖縄北方担当相、党国対委員長、外相、党政調会長などを歴任した。64歳。広島1区、衆院当選9回(岸田派)。

(2021年10月5日朝刊掲載)

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