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連載・特集

緑地帯 ウルシュラ・スティチェック・ボイェデ ポーランドとヤポーニャ <4>

 広島にはポーランドゆかりのスポットがいくつもある。

 広島市現代美術館(南区)のブロンズの野外彫刻「ヒロシマ―鎮まりしものたち」は1992~93年、ポーランドの有名な芸術家マグダレーナ・アバカノヴィッチが創作したものだ。40個の立体物が一方向を向いて並んでいる。ケロイドを負った40人の被爆者の背中のようにみえる、とても印象的な作品である。

 そして2018年10月、広島大病院(南区)の一角に全国的にも珍しい美術館「YHRPミュージアム」が誕生した。Yは「やすらぎ」、Hは「平和」、Rは「リハビリ」、Pは「ポーランド」の意味が込められている。元広島大学長の原田康夫氏が、東京在住の収集家宮内邦雄氏から譲り受けた約1300点を、白い円筒型の2階建ての建物とともに病院に寄贈した。

 その1階の展示場にはポーランドの芸術家レシェック・ノボシェルスキが原爆の惨禍を描いた「ノーモア・ヒロシマ」と、強制収容所を生き残った人たちを表現した「ノーモア・アウシュビッツ」が掛かっている。二つで横幅4メートル以上になる陶板画の大作だ。2階の回廊には欧州各国の画家の絵画などが展示されている。その中の多くがポーランド作家の作品である。

 この美術館が開館した時、ポーランド共和国名誉総領事の山下隆氏の姿があった。広島市には在広島ポーランド共和国名誉総領事館が設けられている。広島がポーランドと強い絆を持つことが私にはうれしい。(日本文学研究者=広島市)

(2019年11月30日朝刊掲載)

緑地帯 ウルシュラ・スティチェック・ボイェデ ポーランドとヤポーニャ <1>

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