×

ニュース

安倍氏国葬4200人参列 首相経験者 55年ぶり

 安倍晋三元首相の国葬が27日、東京・日本武道館で執り行われた。210を超える国と地域、国際機関の代表団を含め国内外から4183人が参列。法的根拠や概算16億円超の国費支出を巡って世論が二分。弔意の強制につながるとの批判も根強く、一部の野党は欠席した。警察は最大約2万人を動員し、厳戒態勢で警備や警護に当たった。(山本庸平)

 首相経験者の国葬は戦後2例目で吉田茂元首相以来、55年ぶりとなった。

 葬儀委員長の岸田文雄首相は弔辞で、歴代最長の首相在任期間に触れ「歴史はその長さよりも達成した事績によりあなたを記憶する」と強調。遺影に語りかけるように「あなたこそ勇気の人、いちずな誠の人、昭恵夫人を深く愛したよき夫。多くの人たちが安倍総理の時代などと懐かしむに違いない」と訴えた。友人代表として菅義偉前首相も追悼の辞を読んだ。

 天皇陛下の勅使、皇后宮使ら拝礼後、出席した秋篠宮ご夫妻ら皇族7人が供花。喪主の昭恵夫人や実弟の岸信夫首相補佐官ら参列者も花を手向けた。

 国葬には、三権の長と国会議員、都道府県知事ら計3千人超が参列し、国外関係ではハリス米副大統領やインドのモディ首相ら首脳級50人程度と合わせて計700人程度が出席した。立憲民主党は執行役員が欠席し、共産党などは党として参列を見送った。

 遺骨を乗せた車は都内の自宅から日本武道館に向かう途中、防衛省に立ち寄った。自衛隊員は自宅出発時の儀仗(ぎじょう)や、沿道で敬礼する「と列」、日本武道館到着時に弔意を示す「弔砲」を行うなど約1390人が参加した。

 会場近くの九段坂公園に設けられた一般向けの献花台に長い列ができた一方、国会前など各地で抗議集会が開かれた。安倍氏と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の深い関係が取り沙汰されたこともあり、国葬への批判が高まった。

 政府は中央省庁で弔旗の掲揚と黙とうを実施した。「国全体として弔意を示す」(岸田首相)としながらも世論の反発を懸念し、教育委員会などには協力を要請せず、国民にも弔意の表明を求めなかった。

(2022年9月28日朝刊掲載)

国民分断 禍根残した 論説主幹 宮崎智三

[考 国葬] 「実績を再認識」「意義分からぬ」 識者たち 賛否割れる

天風録 『たいそうな葬式』

首相、民意読み誤る 支持率陰り どう打開

自民議員参列し追悼 中国地方選出 野党からは厳しい声

社説 安倍元首相国葬 弔意と評価 混同するな

[こちら編集局です あなたの声から] 中国地方 市民の受け止めは

弔意やデモ 入り交じる 中国地方 安倍元首相国葬

広島の7市町 半旗掲げず 安倍氏国葬 自治体対応分かれる 山口 県と19市町全て掲揚

地元山口 功績しのぶ 事務所・県庁 献花や半旗掲揚

年別アーカイブ